ホーム >職員 > 平和の使者 職員メッセージ キャリア教育事業本部 キャリア支援室長 西村康司

キャリア教育事業本部 キャリア支援室長
西村康司

企業と留学生が、
互いに喜びを
分かち合える
環境をこれからも

キャリア教育事業本部 キャリア支援室長 西村康司

もともとは会計事務所に勤めながら、税理士を目指していました。会計事務所や税理士事務所って、税理士にならないと給料が少ないんです。それで副業OKの事務所だったこともあって、資格系の学校で講師の仕事もしていました。
 そこでたまたまキャリアコンサルタントの試験を受ける機会があって、とりあえず受けてみたんです。それがきっかけでキャリア支援に興味がわいてきて、仕事を探すようになりました。
 そうして就職に力を入れている高校に、就職担当者として勤めることになりました。当時はリーマンショックのときで、高校生の就職がとても厳しい時代でもありました。やんちゃな生徒が多くて、大変でしたが、天職だなって思いましたね。

 

エール学園で留学生の就職支援を担当することになったのは2009年からです。外国人をサポートするのは初めてでした。
 驚いたのは、留学生が日本の就職活動に戸惑うこと。日本人からすると、当たり前のように感じるかもしれませんが、日本のリクルートシステムは独特です。いくら優秀な留学生でも戸惑ってしまうんです。一方の企業側はそうした戸惑いがなかなか理解できません。互いの文化の違いを乗り越えることが大きな課題でした。

 

私がエール学園に勤めた最初の年、就職できた学生は7人でした。就活サイトや外国人雇用サービスセンターなど、日本で一般的なリクルートの方法で就職したのは、そのうちの1人だけ。ほかはアルバイト先での採用や紹介、縁故。人間関係を重視した就職支援がポイントになりそうでした。
 そこで取り組んだのがインターンシップです。まず実際に働いてもらって、人となりを知ってもらえば、採用につながると考えたんです。
 ところが、これにはちょっと問題がありました。日本の一般的なインターンシップは期間が短いんです。長くても1週間から10日ほど。企業にとっては手間でしかない。ある中小企業の社長には、「お金くれるんやったら受け入れる」って言われたくらいです。
 それで改めて、今度は2か月、3か月といった長期のインターンシップに取り組みました。
 3か月あれば学生の人となりも分かってもらえるし、仕事にも慣れてくるので、新たに人を採用するよりも企業にとってメリットがあります。この取り組みを進めて、7名だった就職者数は、翌年19名に増えました。

 

インターンシップの取り組みがうまくいきはじめた頃、理事長から新たなコースの構想をうかがいました。100%就職を保証する「デュアルビジネスコース」です。100%就職保証ですから、留学生もそのご家族も安心していただけます。すばらしい取り組みなのですが、このコースは半分、インターンシップのコースなんです。週3回、全員がインターンシップに行く。それだけ受け入れ先企業が必要です。1社で全員受け入れてくれれば楽……、ですがそうともいきません。
 そこで力を入れたのが交流会です。企業の方々を招いて、留学生と交流する場を設けました。最初はエール学園を会場に、30社ほどの企業に参加いただきました。留学生は名刺を作って、企業の方とコミュニケーションをとるわけです。

 

そうした取り組みを始めて、十数年がたちました。今ではさまざまな面で成長することができたと思っています。
 交流会は「マイドームおおさか」を会場に、およそ250の企業が参加する大きなイベントになりました。留学生は約100名。エール学園だけでなく、他校の学生も参加しています。
 優秀な留学生でも、日本で就職できずに帰国してしまうことはまだまだ多いです。これは日本にとっても大きな損失。そうした状況がこの交流会で少しずつでも変わっていけば、と思っています。
 企業と学生のマッチングも成長できている点です。10年以上にわたる経験から、企業に合う学生、学生に合う企業を的確に紹介できるようになってきました。
 ただ、こちらがサポートできるようになればなるほど、学生自ら動いて、応募することの大切さを痛感していたりもします。
 自分でチャレンジしてみて、面接で失敗したりすることで、気付くことがある。その気付きが、成長につながることを実感しています。

 

そしてもう一つ、卒業生のネットワークも大きく成長しています。ビジネスの一線で活躍するOB・OGが増え、国内外で盛んに交流会が行われるようになっています。さらに昨年には、外国人経営者の会「グローバル・プレジデンツ・ミーティング」も発足しました。卒業後もさまざまなネットワークが築けるのも、エール学園の魅力になっています。