エール学園 校長 木村 多恵
エール学園 校長
木村 多恵
萩原大作前校長のあとを受け、4月1日 にエール学園の校長に就任しました木村多恵子です。校友会誌をお借りして、ご挨拶を申し上げます。
卒業生の皆様、お健やかにお過ごしでしょうか。学業や仕事は順調でしょうか。
学園は、今年も新型コロナウイルス感染症が蔓延する中での、新年度スタートとなりました。入学式も、昨年度の入学式や卒業式と同様にオンラインでの実施となり、授業も当面の間、オンライン授業と対面授業を組み合わせた「混合授業」となります。大変厳しい状況の中ではありますが、教職員一同、通常の学習活動が実施できるよう努めているところです。
新型コロナウイルスに加え、紛争、難民、貧困、犯罪、災害、気候変動等、世界では様々な問題が起こっています。国内外のグローバル化が急速に進展する中,海外で起こっている様々な社会問題が私達の日常生活に影響を及ぼすようになってきました。私達はこれからの時代をどう生きるべきなのでしょうか。
私は、メンタリングが、この混沌とした時代の道標になるのではないかと思っています。2005年にエール学園に入職した私は、国際メンターシップグラジュエートスクールでメンタリングを学ぶ機会を得ました。
メンタリングという言葉さえ知らなかった私は、本当に多くのことを学びましたが、一番印象に残っているのは、多角的な視点で物事を捉える重要性です。新たな目線で物事を見ると、それまでの私は、なんと固定観念に囚われていたのかと気づかされました。
物事を多角的に見る時に必要なのが、3つの目(視点)です。3つの目とは、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」です。この言葉は普段は経営の中で使われますが、日々の暮らしの中でも新たな目線で物事を見るヒントになります。
「虫の目」とは、虫のように近いところから物事を注意深く見る視点です。事象を細分化し、掘り下げて細かく見ることです。見えないモノを見る目、そして普段見ない角度から物事を見ることを意味します。つまり、それは視点の深さ、観察力、洞察力、論理的思考のことを指します。
「鳥の目」とは、空を飛ぶ鳥のように、物事を高いところから俯瞰する目です。虫のように近い場所だけ見ていては分からないことも、高いところから広く見わたすことで、複合的に理解することができます。言い換えれば、視野の広さです。
「魚の目」とは、魚が水の流れに従って泳ぐように、時流を読む目です。成熟したグローバル社会は「VUCA時代」ともいわれます。VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字から取られたものです。つまり、明確な正解がなく、先行きが見えない時代だからこそ、より時代の流れを見極めながら決断することが重視されてきています。
視点を変えれば、見えてくる景色も変わります。悩みを持ったときも、これをさまざまな角度から見つめてみることで、心が少し軽やかになり、今までとは違った気持ちで向き合えるようになるのではないでしょうか。
最後に、一日も早く平穏な生活に戻り皆様にお会いできる日を願っております。