ホーム > 平和の使者 講師メッセージ 応用日本語講師 鎌田 統二

応用日本語講師
鎌田 統二

応用日本語講師 鎌田 統二――普段はどのようなことを教えているのですか?
応用日本語学科の日本語講師として文法、文字語彙、新聞購読などの科目を教えています。
――日本語講師になろうと思ったきっかけと経歴を教えてください。
45歳ぐらいの時に前職の事務職の方から「鎌田さんだったら後々は、日本語を教える人になったらいいですよね。」と何気なく言われました。特に親しい方でもなかったのですが、なぜかその言葉がずっと頭にあって、60歳で一旦定年になって嘱託で仕事しながら、どうしようかと思っていたのですが、「自分が出来ること、やりたいこと、少しでも迷惑にならないようなこと」は何かと考えた時、これだ!っと思っている自分がいました。
今となっては、なぜその人がそんなことを言ったのか分かりませんが、それがきっかけでした。
66歳の3月に定年退職してから、6月から日本語講師としてエール学園で働いています。
日本語講師になってからは7年目になります。
――どのような経緯でエール学園で働くことになったのですか?
66歳で前職を退職したのですが、60歳の時に1年間日本語講師養成所に通っていました。退職して、1か月後の4月30日に日本語教育の養成所からメールが1通来ていました。それがエール学園の日本語講師の求人でした。退職したばかりなので、少しゆっくりしようと思っていたのですが、妻に相談したところ、挑戦してみたら?と言われて試験に挑んで、今に至ります。タイミングもとても良かったと思います。
――以前の予備校(日本人)とエール学園(外国人)への教え方の違いは何ですか?
私の話すことの全部は分かっていないだろうと思って接しています。
様々な国からきている学生の国民性、考え方、置かれている環境、ある程度理解するまでに時間がかかりました。教える学生(日本人から外国人へ)の様子が、がらりと変わったことで最初は面食らったのが正直な感想です。 授業をする中でプラスの発想をしています。彼らがこうなのはこうだからだ!自分を壊さないように相手を壊さないようにするためにどう考えるのが一番いいのかといつも考えていて、今もそれの繰り返しです。
――エール学園の良いところと改善点はどこですか?
学生のことはよく見ようとするのですが、学校のことに関してはあまり見ようとしていないので、分かっていない部分があるのですが、すべての企業は発展途上で完成品という企業はないと思っています。すべては発展途上なんだということを踏まえて、積極的に前向きなプラス発想の意見を申し上げるということはあっていいと思います。企業側の聞く耳を持っているということも大切です。
風通しの良い企業であってほしいと思っています。それが出来なければいいものを取り入れて、改変していくことが出来ませんので、大切だと思っています。
――生徒とのエピソードを教えてください。
授業の中の1つで週間テストがあります。週間テストは15分ぐらいのテストなんですが、私は週1回授業が始まった初めの15分でテストをしています。
1カ月のうちの2回ぐらい、その学生はテストが終わったぐらいに入ってきます。正直な学生ですよね(笑)それが何回かありました。このままではよくないなと思って、その学生が教室に入ってきたときに怒るのではなくて、その学生のところに近づいて「1番にならなくてもいいよ。だけれど、自分に負けたらだめだよ。自分に負けるということは夢も希望も全部捨てるということだよ。」とそれだけ静かに言いました。 その学生を責めるのではなくて、説教でもありません。 そのあと、教壇に戻って、ガラッと雰囲気を変えて授業を始めました。
言いたいことは色々ありましたが、気持ちが伝わらないと怒ってもお互いにも、そのクラス全体にも得るものは何もないと思ったからです。
嬉しいことに、その翌週からその学生は1回も休むことなく週間テストを受けていました。
その一言がその学生の心には届いたのです。誰の心にもその一言が届くものではないと思っていますが、たまたま、タイミングもあれば、その学生の置かれている状況もあって、そんなときに初めて言葉が届くものだと思います。言葉とは打算的ではダメなんだと思う出来事で、それがとても印象的でした。
――エール学園の生徒に一言お願いします。
一つは要求する前に自分から変わろうということです。自分から変わっていかないと相手は反応してくれません。 もう一つは例えば今勉強して、何らかの仕事に就いて、そして生計を立てられるまでの生活費をちゃんと受け取れるようになったとします。でも、それでいいのですか?ということです。
生きるということ=生活費を稼ぐだけではないです。
そこから先何を求めるのか?その「何」について考える人でなければ、十分な自分の人生は歩めないです。
自己実現ができる人になってほしいです。納得できる自分を感じていきたい、生きていきたいならどうするのか?ということを一人ひとり考えないといけないですよね。そうやって生きていかないと、本当の意味で生きていくことにはならないと思います。